かわら版
 ガラスの花プロジェクト
2007/9/24 志村真紀  
GIC環境広報部会  
   
     志村氏の「ガラスの花」は、リサイクルガラスの多用途利用を環境デザインの分野で展開しているアートプロジェクトです。住民参加型のイベントであり、デザインやリサイクルを通して、地域のコミュニケーションを図ることが可能な環境モデルとなっています。ガラス素材の魅力を引き出す独特な手法や、ガラスのリサイクルを軸とした多様な展開について、2007年に開催されたワークショップのご報告をいただきました。GIC環境広報部会が後援協力しております。

 

 
「ガラスの花」
この「ガラスの花」というのは、ガラスを破砕し低温溶融成形することにより、透明性や溶け方にデザインの幅をもたせたアート作品であり、ストリートファニチャーです。

低温溶融成形は、省エネ性だけでなく、一般の方々にも参加できる簡単な技術でもあるため、楽しさをもった環境教育として向いています。

今回、柏市柏の葉地区にてアートワークを実施するにあたっては、ガラスの溶融・加工において岡本硝子株式会社による御協力を頂きました。

このようなガラスのリサイクルによる地域づくりは、先駆的な環境モデルです。

1.ガラスの花による都市・地域のデザイン

首都圏最後の大きな地域開発が進むつくばエクススプレス線の駅前では、急速に大規模開発が進められています。しかしその一方で、それに隣接する区域には田畑や空地などが残っており通行する人々に不安感や寂しさを与えています。

そのような空間は、2年ほど前に私が住んでいたつくばにもありました。そこで、昼間は「ガラスの花」とし、夜になるとその花が照明として灯るデザインを考案しました。これは私の研究課題であったリサイクルガラスを活かしたもので、家庭にあるガラスびんなどを原料として、破砕し低温領域で半溶融することによりガラスの花をつくるものです。そして対象地を利用する人々を誘い、制作し植えるアートワークを行いました。

今回はその経験を基にして、千葉大学、東京大学、東京理科大学の学生が結成した「柏の葉ピクニッククラブ」と「みちばたかいぎ」と共に柏の葉バージョンのデザインとアートワークを行いました。

対象地は柏の葉キャンパス駅と住宅地をつなぐ千葉大学柏の葉キャンパス内の遊歩道とし、アートワークは柏の葉アーバンデザインセンターで行い、大学生、柏の葉高校生、住民の方々の参加も得ることができました。ガラスの溶融は、近距離にある岡本硝子の全面的な協力を頂きました。

ガラスの花を植えた後はナイトピクニックを開催し、淡く灯るガラスの花に囲まれた中で人々とのコミュニケーションが交わされました。そして約1ヶ月後、千葉大学と柏の葉高校の相互理解があって、千葉大学内の遊歩道の開門時間が長くなりました。

このように、小さな「ガラスの花」ではありますが、それに関わった人々の周囲では、ヒューマンスケールによるアーバンデザインの実践が反映し続けています。

千葉大学環境健康都市園芸フィールド科学教育研究センタ− 内 遊歩道(TX「柏の葉キャンパス」駅より 徒歩10分)

   
  2.アートワークのプロセス
 
   
 
   
  3.リサイクル原料による「ガラスの花」のタイプ
 
   
  4.「ガラスの花」による空間
  このガラスの花は、柏の葉バージョンとしてデザインした「ガラスの花」のかたちです。 花名:コスモ, 花言葉:無限の未来
 
   
    企画:「柏の葉ナイトピクニック」 〜ガラスの花ワークショップ〜

主催:柏の葉ピクニッククラブみちばたかいぎ

協力:千葉大学,柏の葉アーバンデザインセンター,岡本硝子株式会社,株式会社キシムラインダストリー

後援:ガラス再資源化協議会,ガラス産業連合会 環境広報部会