かわら版
 パナソニックエコテクノロジーセンター(株) PETEC見学レポート
2015年2月27日 
環境広報部会 
 
 
 
  1.日時 2014年11月6日(木)13:30 〜 14:30
 
    2.訪問先 パナソニックエコテクノロジーセンター(株)(PETEC)  
 
    3.目的 家電リサイクルの現場を見学、環境保全への取り組みについて学ぶ  
 
4.部会参加者 主査 加藤之啓(日本板硝子)/志村真紀(横浜国立大学准教授)/高橋啓市(日本山村硝子)/二田水和弘(硝子繊維協会)/瀬上信(電気硝子工業会)/齋藤準(ニューガラスフォーラム)/宮本雅子(外部スタッフ)/黒光織恵(日本硝子製品工業会)/鈴木正行(板硝子協会)
 
    5.パナソニックエコテクノロジーセンター(株)(PETEC)施設概要  
 
      ■敷地面積
  ■資本金
  ■事業開始
  ■敷地面積
  ■使用済み家電製品の
   処理台数実績
●兵庫県加東市佐保50番地
●4億円
●2001年(平成13年)4月1日
●38,570u(約11,600坪)
●約70万台/年間
ブラウン管式テレビ・薄型テレビ、洗濯機・衣類乾燥機、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫
(4品目・7機器)
 
 
    ● Report    
 
 
    PETECは故 松下幸之助氏の理念「“もったいない”を知り、“ありがたい”を得る」を具現化したPanasonic社100%出資による施設であり“循環型モノづくり”の先進拠点です。テレビや冷蔵庫など家電製品はジャンルが多岐にわたる上、各メーカーの製品ラインアップも充実しています。多種多様な製品にどのように対応し再商品化していくのか、今回最先端のリサイクル現場を見学することができました。
 
 
 
    工場内に入ったときの第一印象は「建物の内外ともに非常にきれいである」ということでした。
  見学コースは、地域の小中学校の社会科研修の場としても利用できるように、いろいろと工夫され、説明資料が整えられていました。
 
 
  1)
家電製品の断面モデルによる回収部品の説明
 
  2)
家電製品ごとにリサイクルされる材料の量をガラスコップやビール缶といった身近な物を実際に並べて示した展示
 
  3)
粉砕工程など外からは見えない部分の実況モニター
 
  4) 材料の各種分別方法の原理説明用の模型と、分離のデモンストレーション  
    1. 磁選機による鉄の分離
2.フレミングの左手の法則を利用した金属と樹脂との分離
3.風力を利用した重量物と軽量物の分離
4.振動・傾斜を利用した銅とアルミの分離
5.比重差による水への浮沈を利用した重量樹脂と軽量樹脂の分離
6.近赤外線センサーと空気噴射を利用した樹脂(PS,PP,ABS)の分離
 
  5)
レーザーカット工程説明模型
 
 
 
等々、非常に分かりやすかった説明員の方の説明や実演もあって、リサイクルの工程を良く理解することができました。
 
 
    国内の家電リサイクルの拠点は49拠点あるそうですが、対応メーカー別にAとBの2つのグループに分けて効率化を図っているそうです。ここPETECでは「商品から商品へ」の実現に向け、様々な先進的な取り組みが展開されていました。特に印象に残ったのは、振動比重による鉄・銅・アルミの選別方法や、プラスチック類の高精度エアー選別(PS,PP, ABS)などでありました。
    PETEC全体を見て感じたことは、やはり再商品化の取り組みには“人手”がかかるということでした。アシストロボットなどの導入により省力化も進んではいますが、解体作業のほとんどの工程で手作業が主となっていました。然しながら場内環境には作業者への配慮が見られ、ホコリを作業者が吸い込まないよう、天井から足元へ空気を循環させる集塵システムが採用されていたのが印象的でした。
    気になっていたフロンの回収については、主に冷蔵庫やエアコンの解体時にコンプレッサーの回収を手作業で行っていました。特に冷蔵庫は断熱材にフロンが含まれるケースがあり、品番読み取りによる判別が徹底されていました。これらの冷蔵庫は通常の冷蔵庫とは別にストックされ破砕機に投入、破砕と同時にフロンの回収が行われていました。
    ガラスについては、ブラウン管式テレビから回収されますが、現在では薄型液晶テレビが主流となり回収量は減少しているそうです。ここで回収されたガラスは、舗装用ブロックなどに再利用されているということでした。ガラスの回収に関してGICへの要望をお尋ねしたところ、別の素材と融合したような部品がリサイクルには不向きとのことで、ガラス製品に限らず、メーカーにはリサイクルを考えて製品を設計することを強く望んでいらっしゃいました。
 
 
 
    家電リサイクル法の再商品化は、消費者がリサイクル料金を負担して廃棄家電を小売店に引き渡す事からスタートします。それらの家電は、全国に363箇所あるという指定引取場所に集められリサイクル工場に運ばれてくるそうです。よく町中で見かける無料回収車は家電リサイクル法の枠外収集であり、絶対に引き渡してはいけないとのことでした。
 
 
 
    最後に今回の見学会で感じたことは、廃棄家電は大量に排出されるが処理が困難であるため手間も時間もかかるということでした。しかし、資源性は大きくレアアースの回収なども行われていました。“リサイクルはトレジャーハンティング(宝探し)”という言葉がとても相応しいと感じました。現在では再商品化しやすいよう設計段階から工夫もされており、ネジなどのパーツ類削減も進んでいるということです。また、回収家電を屋外に放置しない、防音・防振対策も実施するなど、周辺環境への配慮も万全でありました。PETECは地域住民からも理解されている、地域と共存するリサイクルセンターでありました。
 
 
    以上