かわら版
 北九州エコタウン見学
10.九州工業大学エコタウン研究施設(都市ごみの生分解プラスチック化技術)
●九州工業大学大学院白井研究室 
実証研究エリア内
 
           
○概要

 平成11年から、食品廃棄物からバイオマスプラスチックを製造する実証研究と、使用済みのバイオマスプラスチックのケミカルリサイクル実証研究を行っている。
 
   
○詳細

 バイオマスプラスチックの原料は、パンの耳やリンゴの皮といったごく普通の生ごみだった。それらの生ごみに酵素を加え、糖化させる。その糖液を乳酸発酵させ精製・濃縮することでプラスチックの原料となるポリ乳酸ができる。石油の原料が動植物であったということを考えれば不思議なことではないのかもしれないが、生ごみが複雑な実験装置を経て透明な液体に変るというのは大変な驚きであった。
 バイオマスプラスチックは土中では微生物の働きで水と二酸化炭素に分解され、燃やしても新たな二酸化炭素が増加しない。そのため地球温暖化防止、循環型社会の形成に貢献する素材であるとして、用途の拡大が大いに期待されている。分野によってはガラスの好敵手となるかもしれない。
 現在ではまだコスト高だが、リサイクルシステムの構築により、コストを下げることが可能であるということである。高温によりガス化して取り出せるのでケミカルリサイクルができ、品質が劣化しないという。
 今後の課題としては、熱に弱い、加水分解しやすいといった弱点を補うため、さらなる高分子化の必要性があるとのことであった。しかし、仮に溶け出したとしても無害である。
 
 
   
○主な製品のカテゴリーと例

 ・農林水産業用資材
 ・事務用品、日用品、文具、雑貨類など
 ・食品包装用フィルム、容器
 ・土木、建築資材
 ・野外レジャー用品
 ・全国のZEPP(コンサート会場)でバイオマスプラスチック・カップを供給。
  回収しリサイクル。
 ・Docomoの請求書の窓部分に使用
 
 
    宮本雅子